意外な由来 フレックスが大切な理由とその歴史
みなさんフレックスはご存知ですか??
とても大切なムーブです、今回はこのフレックスのコンセプトをその歴史と一緒にご説明します。
以下の3点にまとめました。
フレックスはポッパーにとってはベーシックなムーブ、 「キャプテンEO」の中でエレクトリックブガルーズのメンバー、ポッピンピートやポッピンタコ、スキーターラビット、ブガルーシュリンプ(元メンバー)などがマイケル・ジャクソンと一緒にフレックスをしています。
4:50より
マドカさんによるフレックスレクチャー
…ところで一体これなんの動きなんでしょう??
多くの人にこの動きは大切であると教わりましたが、最初僕はなんのためにやるのかわかりませんでした。(やみくもに練習こそしていましたが、人前で使ったりはしませんでした、だってヘンテコじゃん…)
TWIST-O-FLEXの元となった動き
それを知るためにフレックスの歴史を調べてまいりました。
Underground Dance Masters: Final History of a Forgotten Era p111より
はい、こちらはエレクトリックブガルーズのオリジナルメンバー、TICKIN’ WILL(ティッキンウィル)さんが同じくオリジナルメンバーのTWIST-O DON(ツイスト・オー・ドン)ことDarnelさんを述懐する内容となっております。
(ちなみに、Darnelさんはもうお亡くなりになられています…ざんねんです、一度この目で見たかった…RIP)
要約すると、Will曰く、Darnelはよく遊んでいた「Slinky」というおもちゃの動きを身体で再現しようと、ひねる動きをよく練習していたそうです。
「Slinky」
(そういえば、トイストーリーの彼も名前はSlinkyですね!)
(ちなみに「slinky」とは、「流れるように優美に動く」という意味らしいです。)
そうして開発した動きを
「これどうよ、Will…?」
「いやそれお前カッケェよDarnel…」
という具合にWillに確認し、DarnelはTwist-o-Flexとなづけたそうです。
それ以来、WillはDarnelのことを「Twist-o Don」と呼ぶようになりました。
TWIST-O DONによるツイストオーフレックス
過去にポッピンピート氏のフェイスブックでシェアされていました。
0:15より
ヤバイ…
何その質感、本当にゴムみたい。
現行のフレックスとはだいぶに趣が異なると思います。
是非ともムーヴに取り入れていきたいですね。
「そっかー、あのバネのおもちゃが由来だったんだねー」と思っていたんですが、「…え?Slinkyどこ行った?Twist-o-Flexってなに?」
となりました、次は名前の由来をご紹介します。
「TWIST-O-FLEX」の名前の由来
名前の由来についてのお話なのですが、明確な資料を見つけられませんでした。なので、私の推測になりますがご紹介します。(多分あってると思いますけど!)
1960年ごろに流行したSpeidal社の腕時計のベルトに「TWIST-O-FLEX」という商品があります。
そしてこのコマーシャルをご覧下さい
確かに捻ったり折れたりする動きがポップのフレックスっぽいと思うのです!ゴム入ってそうだし!
ですから私が推察するに、Slinky再現しようとしてたら、捻ったり折れたり畳んだりするような動きになって、それがこの時計ベルトっぽくなったからTWIST-O-FLEXって名前にしたのかも、と思っております。
ちなみに、このOとは 5 o’clock(5時)やJack-o’-lantern (ハロウィンでみるカボチャ、こいつ→🎃)の「o」と同じで、前置詞「of」の省略です。
というか、これ以外説明が見つけられません。
まとめ
正直どの説が正しいかは断言はできません、本に書いてあるから事実だ!と鵜呑みにするのもよくないからです。
フレックスはロボットダンスから来ている、なんて話もあります。(私はこの話を聞いて以来、ずっとロボットっぽく等速運動で、できる限り直線的にフレックスをして、ロボットスタイルにもフレックスを織り交ぜる練習をしていました。)
ただどんな成り立ちであれ、Slinkyをイメージしたフレックスは、何も考えずにやるフレックスとは全く動きが異なります。
つまり…
イメージやコンセプトによって動きは全く異なってくるという事です。
この本がなければ、バネのようなスイングをする質感のフレックスを私は発見することはできず、ずっとロボット風のフレックスに固定され続けていたでしょう。
オリジナルのイメージを、コンセプトを知ることが今の自分のムーヴの質を変化させるかもしれません。
フレックスは歴史を知ることの重要性を物語る良い例だと思っています。
次回はフレックスとブガルーについての考察を述べていきます、ありがとうございました。
達人達による!「ポッピング(ヒッティング)」のレクチャー〜その1・腕〜
前回は「ポッピング(ヒッティング)」と「キーピング(空間固定)」について説明しました。
今回は「ポッピング(ヒッティング)」について説明して行きます。3つの動画をご用意しました。
ポッピング(以下ヒット)は、筋肉のある所なら理論上、どこでも打てます。しかし、実際に使われているのは主に、腕・首・胴体(体幹含む)・お尻・太ももです。
まずは筋肉が弾ける(瞬間的な緊張からの弛緩)感覚をつかむことが大切です。一番動かしやすい腕からいきましょう。
様々な方法があるのですが、いくつか紹介していきます、自分に合ったものを練習して下さい。
こちらはオリラジあっちゃんの実弟、FISHBOYさんによるレクチャー動画
FISHBOYさんは、RADIO FISHのダンサーとしても有名ですね!テレビ出演などオーバーグランドで活躍する一方、アンダーグランドのダンス界隈でも名を馳せており様々な大会で入賞など輝かしい経歴がある実力者です。
まずは肘を肩の高さで固定します、そして空手チョップの様に肘から先を振り下ろします。
この時のポイントとして、肘の位置は動かしません。多くの人が肘が無意識に下がってしまうと思います(これが前回説明した無意識な身体の癖ですね!)
そして今度は腕が90度になる所で見えない壁を叩くかの様にガッと止めます、コツとしては力こぶ(上腕二頭筋)に力を入れます。
感覚としては、アクセルとブレーキを同時に踏むイメージです。アクセルを踏み込んだ直後にブレーキを踏み込むと、車はガクッとなります。急ブレーキですね!
動画でもFISHさんの力こぶがビクッとなっているのが見えると思います。
(勘のいい方はもう察しがついたと思いますが、上腕二頭筋と上腕三頭筋、どちらをアクセルにするかブレーキにするかで見え方が変わります。
たまに引くヒットと当てるヒットと呼んで区別している人もいますね。
更に、その引くヒットと当てるヒットとを同時に行えば…腕がブルンッと急激にブレる強いヒットに見えますが、これは上級編です。)
フォーマーアクションのマドカさんによるレクチャー動画
こちらのマドカさんも大変な実力者で、ポッピングダンサーで彼の事を知らない人はいません。
様々な大会で優勝を繰り返しております、国内屈指スキル・バトルの強さを誇ります。
現在はGACKTさんのライブにバックダンサーやキャストとして出演なさっていますね。たまにGACKTさんのインスタグラムに登場なさいます。(毎回GACKTさんに、重たいボールを腹筋にぶつける筋トレで悲鳴をあげていますね…笑)
こちらでは力を込め続ける事で感覚をつかもうとしています。個人的に参考にしていただきたいのは、肩で打ったり、パンチするかの様に打たない所ですね。
これらは肩打ちといわれ、悪い癖とされます、一度染み付くとこの癖はなかなか取れないので早いうちから意識しておくと良いでしょう。
また練習方法も秀逸です。腕を振り子の様に動かし、その振り子の頂点で音楽に合わせヒットを打つ方法は脱力→緊張の感覚がとても掴みやすかったです。(この動画みながら夜中に窓ガラスの前で練習したなぁ…親に見られるの恥ずかしかったなあ…笑)
O.G.SのACKYさんによるレクチャー動画
このDVDはある程度歴のあるポッパーなら一度は目にした事でしょう。
Ackyさんは大阪の大御所で、40を超えてなお実力で最前線に立ち続け若手を圧倒しております。この方も国内トップクラスの実力者でございます。
この方が海外バトルシーンで最初期に活躍し、世界の扉をこじ開けたポッパーです。野球でいうと野茂英雄ですね。
腕のヒットの説明は3:50から
こちらでは、腕の曲げ伸ばしを使って説明しております。
参考にしていただきたいのは、指でを引っ掛ける様にして、なにかをつかむ様にしてヒットを打つ感覚です。
これは、筋肉と腱が繋がっている事を利用したものです。これにより腕の前腕・上腕を同時に使うことができます。
さて以上3つを紹介しましたが、ヒットの感覚は本当に人それぞれです。全く同じ動きでも人によって説明が異なります。ですから自分に合うものを探してみてください。
本当はもっと細かく説明したいのですが、それはまた次回にいたします。
ポップは地味な練習が続きます、なかなか成果が見えないことも多いですが、気づけばいつのまにかできるようになります!
着々と憧れの動きができる、憧れの自分に近づく感覚がたまりません!一度その感覚を味わえばあなたもポッピンのトリコ。
きっとまるで変態みたいに一日中鏡の前で筋肉をピクピクさせ、周囲から変態と言われることに歓喜する変態になるでしょう!
ようこそこちら側へ!一緒にがんばりましょう!
全ジャンルに活きる!最初に学ぶべきポッピンの技術
前回はポッピンの概要をお伝えしました。だいたいどんなダンスなのかがわかっていただけたと思います。
様々なスタイルがあり、最初は困惑するかもしれませんが、その分、自分の個性を強く反映させることができるので、唯一無二の、自分だけのスタイルを作り出すことができます。
(色んなダンサーを見てきましたが、ポッパーは他ジャンルに比べて変わり者が多いですね!変態と言われてみんな喜んでいます。)
そんな多種多様なポッピンですが、全てのスタイルに共通して必要で、なおかつ他のジャンル(他のスポーツにも!?)活きる技術がございます!
それは…
ポッピングorヒッティング(筋肉の部分的な収縮)と、キーピングor空間固定です!
いきなり言われてもなんのこっちゃですよね!
簡単に言えば、ポッピング(以下ヒット)は腕、足、胸など身体の各筋肉を意識的に、そして急激に緊張させる技術。(筋肉を動かす技術としてのポッピングはヒッティングと同じ意味です。カリフォルニアの地域によって呼び方が異なるようですが、やっていることは同じです。日本ではヒットの呼び方の方がメジャーですね〜)
そしてキーピングはパントマイムに見られる技術で、身体の一部を空間の一点に固定する技術です。
(動画の冒頭で見えない壁を演出する技術がキーピングの一種です!)
なぜこの二つが重要かといいますと…
それは、自分の身体を思い通りに動かす…すなわち、運動神経の訓練だからです!!
(百獣の王こと武井壮さんも「笑っていいとも」において運動神経についてお話しされてます。
上記の動画でも言われていますが、人間、自分の身体を思い通りに動かそうと思ってもなかなかうまくいきません。
自分の身体を動かすということは、自分の筋肉を思い通りに動かすということです。腕を曲げたければ、上腕二頭筋に力を入れる、といったことをポッピンでは意識的に行います。ヒッティングはうってつけです!
そしてキーピングは、身体を動かす時の無意識の動作、癖を理解することで可能となります。
例えば、立った状態で片足を上げて見てください。すると上げた足と同じ側の手が後ろに引かれていると思います。
膝を曲げて体勢を低くして見てください。自然と両腕が上がっていると思います。
このように人間の身体は重心を保とうと、意識した所とは別の場所が自然に動きます。これらの自然な動きと反する動きを無理矢理行うのがキーピングです!
要は…
この二つの技術で、身体を思い通りに動かせる(運動神経の向上)、そして身体の癖を把握できます!(合理的な動作の把握)
運動神経という観点から、多ジャンルどころか様々なスポーツに活きることがわかっていただけたかと思います。
(昔から武術の達人は舞踊も上手な人が多いですし…)
ではダンスの専門技術的にはどこが全ジャンル共通なのか…
それは「アイソレーション」です!!
またよくわからないのが出てきましたね。
アイソレーション(独立)の名の通り、他の部分は動かさず、身体の各部位を首なら首より下は動かさず、胸なら下半身は動かさず、別々に動かす技術です。
この技術は、ブレイクダンスを除く全てのジャンルで基礎となる技術です。これができないとストリートダンスの多くの技が習得不可能になります。
長くなってしまいましたが、次回はその習得方法をご説明させていただきます。
ありがとうございました。
ポッピンって??
ポッピンとはストリートダンスの一種で、ポップ、ポッピン、ポッピングなどとも呼ばれます。筋肉を急激に収縮させ、身体が弾けるかのように音楽のビートを表現する技術「ポッピング」(地域によっては「ヒット」とも)という技術が名前の由来です。特徴としてはマイケルジャクソンのようなムーンウォークやロボットダンス、パントマイムなど不思議な動きが特徴的なダンスとなります。
マイケルジャクソン、ウェーブやムーンウォークを披露しています。
歴史の古いダンスで、1970年ごろにアメリカは西海岸のカリフォルニア州で誕生し、以来様々なジャンルに影響を与えています。ウェーブやタットなどがその良い例です、ヒップホップやヴォーグ、ハウスなど様々なジャンルにポッピンの要素が取り入れられています。(東京ゲゲゲイのyuyuさん、ジャズダンサーのリアキムさんも大変ポッピンがお上手です)
yuyuさん
リアキムさん
最近だと俳優の窪田正孝さんがテレビで華麗なムーンウォークを披露なさっていましたね。
そんな不思議で、アーティストのミュージックビデオなどでも引っ張りダコなポッピン。
三代目JSB イーニーミーニーマイニーモー、3:15より
三浦大知 (RE)PLAY、2:20より
日本では主にウェーブやロボットなど不思議な動きを重視する「アニメーションスタイル」とグルーヴィーなスイング、リズム感と体の各部位を別々に回すロールが特徴の「ブガルースタイル」の2種類に分けられることが多いです。
また、マイケルジャクソンにムーンウォークやウェーブを教え、振付師も担当した「エレクトリックブガルーズ」こそがオリジネーター(創始者)であるとされがちです。(エレクトリックブガルーズについてはまたご説明します!)
(一括りにポッピンとされていますが、とても同じジャンルとは思えませんね!
しかし、実際には多くのスタイルがあり「これこそがポッピンだ!」とは言い切れないのです。
現に、カリフォルニアのロサンゼルスのポッパー達は「ポップロッキン」(ストリートダンスの一種・ロッキングっぽいポッピンという意味ではありません)と言って他地域のポッパー達とは区別しています。またエレクトリックブガルーズはウェーブやタットは他のチームから習ったとレクチャーDVDの中で言っています。ムーンウォークに至っては100年近く前からパントマイマー達の間で行われています。
1930〜1940年代のムーンウォーク、0:40より
現行の様々な技術をより深く理解・把握するためにもポッピンの歴史を知ることは大切だと思います。